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子宮筋腫は良性の腫瘍ですが、発生部位によっては不妊症や流産のリスク

子宮は平滑筋という筋肉で構成されていますが、この平滑筋の組織が異常増殖を繰り返し、筋肉層の中にコブをつくることがあります。これが20~50代の女性の4人に1人が持っているとされる「子宮筋腫」と呼ばれる良性の腫瘍です。子宮筋腫は以下のように3つのタイプに分けることができます。

産科の医師による問診

子宮の筋肉の中にできる「壁内筋腫」が最も多く見られる子宮筋腫で、筋腫のサイズが大きくなると、月経が長引いたり、月経量が増えたり、月経痛が酷くなるなどの症状が現れます。セックスの際、ペニスの挿入時や突き上げるときに痛みがある(性交痛)を訴える女性もいます。

子宮の外側を覆う漿膜あたりにでき、子宮の外側に向かって大きくなるのが「漿膜下筋腫」です。壁内筋腫と異なり、大きくなっても症状が出にくいため、気が付かないでいる人も大勢いると思われます。これとは反対に、子宮の内側の粘膜にでき、内側に向かって大きくなるのが「粘膜下筋腫」で、月経痛、過多月経、不正出血などの症状が現れます。

子宮筋腫を発症する原因ははっきりと解明されていませんが、健康な女性の多くが持っている筋腫の芽が女性ホルモン(エストロゲン)の影響を受けて、成長すると考えられています。したがって、月経が整っており、エストロゲンの分泌が安定している成熟期、特に妊娠出産ではエストロゲンの分泌が増すので、筋腫ができやすくなっています。逆に更年期以降はエストロゲンの分泌が低下するので、筋腫は成長しにくいとされています。

出生率が高かったかつての日本では、2人以上の子供を産む女性は少なくなかったため、妊娠で産婦人科を受診した際に小さな筋腫でも発見することは比較的容易でした。出産年齢が高齢化し、出産回数も減った現在では、それだけ毎月生理がある女性が増えていることになるので、エストロゲンの影響を受けている年数が長くなります。

つまり、それだけ子宮の筋腫が成長しやすく、また産婦人科を受診する機会もないため、発見が遅れる傾向にあります。たしかに子宮筋腫は良性の腫瘍ですので、小さいければ放置していても問題ありません。しかし、粘膜下にできる筋腫はたとえ小さいものであっても油断は禁物です。

粘膜下に発生した筋腫は不正出血や過多月経を起こしやすく、成長すると周囲にある骨盤神経を圧迫して下腹部痛を引き起こしたり、膀胱が圧迫されると頻尿にもなります。また、子宮筋腫のできる場所によって不妊症、流産などの原因になることもあります。

大きくなりすぎて不妊や流産の原因となる場合、再発の恐れもあるので、手術で切除することもあります。手術には、筋腫の部分だけを切除する場合と、子宮全部を取り出す全摘手術があります。手術を望まない場合は、薬で症状を押さえながら、様子を見ることもあります。

内膜の細胞が卵巣や直腸などに転移して、増殖と剥離を繰り返す子宮内膜症

子宮内膜の細胞組織が毎月増殖して剥がれ落ち、膣から排出される、というのが月経の正しいプロセスです。しかし、子宮内膜の細胞組織が卵巣や腸、膀胱など、子宮の内壁以外の場所に発生し、本来の子宮内膜と同じようにホルモンの影響で増殖し、月経となって出血することがあります。これが「子宮内膜症」と呼ばれる病気です。主に30歳以上の成熟期に多く見られる病気ですが、近年は20代の女性にも増加傾向が見られます。

下腹部痛の症状を訴える患者

原因としては女性ホルモン、特にエストロゲンが関係しています。上記の子宮筋腫と同じく、出産年齢の高齢化、少子化のためエストロゲンが定期的に分泌され、その影響を長年にわたって受ける女性は発症のリスクが高くなります。

正常な月経は、血液の出口となる膣口が存在しますが、子宮内膜症では血液の出口がないため、病巣に血が溜まって血豆のような状態となります。これが敗れると出血して炎症を起こし、周囲の組織と癒着(組織同士がくっつく)してしまうことがあります。

子宮内膜症が卵巣に起きて、卵巣の中がチョコレート色のベタベタした血液で一杯になることを「チョコレート嚢種」といいます。子宮内膜症の症状は酷い月経痛、性交痛、下腹部痛、腰痛などがあり、不妊の原因になることもあります。

子宮内膜症の治療は、腹腔鏡や超音波を利用して手術で病巣を除去する方法のほか、薬で症状を抑えたり、ホルモン剤で疑似的に月経を止めるなどの方法があります。治療法の選択は症状、患者さんの将来(妊娠を希望するか等)を考慮して行います。

症状や発生部位に大きな問題はなく、近い将来、子供を産みたいのであれば、薬物療法が選択されます。子宮内膜症は、生理が定期的に起こることで悪化しますので、薬で生理を自動的に止めて、人工的に閉経状態を作り出すのです。これにより子宮外に散乱している子宮内膜の増殖が止まり、徐々に病巣は小さくなり、痛みなどが軽減されていくのです。

ただし、人工的に閉経状態にするということは、更年期に近い体になるので、のぼせ、異常な発汗、イライラ、頭痛、吐き気、体重の増加といった更年期障害に似た症状がでることがあります。ホルモンバランスが乱れるため、不正出血が続くケースもあります。治療を止めればこれらの副作用は治まりますが、子宮内膜症の症状と副作用のリスクの両方を考慮に入れておきましょう。

妊娠・授乳期は月経が止まり、子宮内膜の増殖が長期間停止されることから、最も効果的な治療は妊娠と出産とも言われています。